正確な英文読解を行う上で完全文と不完全文の感覚をマスターすることは避けては通れません。
とは言ってもこの「完全文と不完全文の違い」は決して難しいものではなく、私たちは普段から日本語でこの違いを自然に理解しています。
まず「buy = 〜を買う」という単語を例にとってその違いを見てみましょう。
【不完全文】
1). I bought.
(私は買いました。)
【完全文】
2). I bought a car.
(私は車を買いました。)
※ bought は buy の過去形
例えば、あなたが仲の良い友人と会話をしているとしましょう。もし、その友人が「私、昨日買ったの!」と言えば、あなたの頭には自然と「何を(買ったの)?」という疑問が浮かぶはず。。。
英語で「買う」は、ご存知「buy」ですが「buy」は「〜を買う」と意味で使われた時には後ろに目的語を必要とする単語。つまり、買うもの [=目的語] がすぐ後にないと完全な文としては成り立たない単語なんですね。
つまり、1). I bought ___ . は目的語がないから不完全文というわけです。
(ちなみにbuyのように目的語が必要な動詞のことを「他動詞」と言います。※実はこの他動詞という言葉、非常に大切です!)
一旦ここまでをまとめましょう。
まず、「私、昨日買ったの!」のように「何を買ったのか。」という「何を」の部分が不足していているような文が「不完全文」。
(英語で、I bought __ . の状態です。)
反対に、「私は車を買いました。」「私は時計を買いました。」のように文が完結している完全な文のことを「完全文」と言います。(I bought a car. / I bought a watch. など。)
ここまで、「完全文」も「不完全文」もその名の通りなので分かりやすいかと思います。
ではなぜ「完全文」と「不完全文」の知識が必要なのか?
ではなぜ、そもそもこの「完全文」「不完全文」の知識が必要なのでしょうか。
その理由を説明するために、ここから少し先程の英文を発展させてみます。
【不完全文】
1). I bought.
(私は買いました。)
【完全文】
2). I bought a car.
(私は車を買いました。)
【※whichの後に注目】
This is the car which I bought.
(これが私が買った車です。)
「完全文」と「不完全文」を理解しておく必要がある理由として、まず1番に思い浮かぶのは、関係代名詞(= 上の例文ではwhich) が使われた英文の解釈にこの知識が必要不可欠だからというものです。
This is the car which I bought.
(これが私の買った車です。)
関係代名詞がいまいち分からないという人はここで以下のポイントを押さえておきましょう。
- 関係代名詞の後の文は、前の名詞を説明
- 関係代名詞の後の文は、前の名詞が不足した英文となる
(↑今回のポイントは②です!!)
関係代名詞が使われた時のルールとして②に、「関係代名詞の後の文は、前の名詞が不足した英文となる」とあります。
これは言い換えると、「関係代名詞の後の文は、前の名詞が不足した不完全文となる」です。大切なので繰り返します!「関係代名詞の後の文は不完全文となります!!」
どういうことでしょう。
This is the car which I bought ___.
関係代名詞 (=which) は前にある名詞(the car)のことを後の文が説明しますよの合図。
なぜ、関係代名詞の後の文が不完全な文になるかと言えば、不足している要素(=buy の目的語) は前にある [the car]だからです。
今の話が少し分かりにくければ、訳に注目してみましょう。
【※whichの後に注目】
This is the car which I bought.
(これが私が買った車です。)
まず、「This is the car. → これがその車です。」
→どんな車かを後から説明!
→「which I bought → 私が買った(車)」 という訳ですね。
しかも、この関係代名詞はなんと省略することも可能です!
【※関係代名詞(=which)の省略】
This is the car I bought.
(これが私が買った車です。)
なぜこの英文がネイティブの頭にはスッと入ってくるのか。。。
それは、This is the car. という完全文ができているのに、すぐ後に I (=私は) というふうに名詞が出てくる。しかも I bought __ .というふうに不完全文で終わっている。
ということは、この不完全文 (I bought: 私は買った。) は前にある名詞「the car」のことを説明しているんだな。というふうに思考のプロセスが自然に働くからなのです。
これが理解できれば、実は「名詞+目的語不足の英文」は、全て前の名詞の補足説明。ということも分かるようになります。
「名詞の後ろに目的語が不足した英文 (=不完全文) は前の名詞を説明」
・the car I bought yesterday (私が昨日買った車)
・the dog we found in the park (私たちがその公園で見つけた犬)
・the lights we need to replace (私たちが交換しないといけないライト)
この「後ろから不完全文が前の名詞を説明する感覚」が身に付くと英文読解力は飛躍的にアップすること間違いなしです!