この記事で取り扱う内容は、「one / another / the other / some /others」などの「不定代名詞」と呼ばれる単語です。
この不定代名詞を学習する上で最も大切なポイントは、「another」、「the other」、「others」など、それぞれのイメージを理解した上で、実際に日常にあるシチュエーションに当てはめてみること。(一見すると似たような単語に見えるためどうしても頭の中で混乱を招いてしまいます。)
だからこそ、まずはイメージ(図解)を基本として日常のシーンに照らしてみるのです。
その結果、記憶にも定着しやすくなり、様々な応用問題に対応する力が身に付いていきます。この記事を読み終わった頃には、この不定代名詞の使われた英文がかなりクリアに読めるでしょう!
それでは解説に入っていきます。
そもそも「不定代名詞」とはどんなもの!?
まず、第一段階としてこれから解説していく「不定代名詞」を簡単にまとめておきます。
不定代名詞
- one: (数えられるモノ1つの代わりに用いられる)
- another: (その他のもう1つの意味で用いられる)
- the other: (特定のもう1つの意味で用いられる)
- some: (不特定のいくつかの意味で用いられる)
- others: (その他のいくつかの意味で用いられる)
- the others: (特定のその他全ての意味で用いられる)
今回は上記の単語たちの違いを主に説明していくのですが、文字だけを見てもあまりピンとこないでしょう。では、こんな例を聞くとどうでしょうか。
あなたはりんご2つを食べ比べました。その結果、、、このりんごは一方のりんごよりも甘かった。不定代名詞にはもってこいのシチュエーションです。
I took a bite of two different apples, and this one was sweeter than the other.
(私は2つの異なるリンゴをかじった、これは一方のよりも甘かった。)
※take a bite of〜 (〜を一口かじる)
例文を見たら分かるように、まず「apple(リンゴ)」という単語が「one」で言い換えられていますね。このように「one」は数えられるもの1つを意味する代名詞。2つあるリンゴの内の1つを「このリンゴ=this one」と言い、そしてもう一方の (リンゴ)を「the other」で言い換えています。
ここで注目しておきたいポイントが1つ!
上のリンゴの例文のように、不定代名詞が使われるシチュエーションというのは、まず「one」があって、それに対して「the other (特定のあと一つ)」や「another (その他のもう一つ)」というふうに、
「one」という基準に対して「the other」、
「one」という基準に対して「another」のような、それぞれの関係性によって生まれている表現だということです。
不定代名詞「one / another / the other」の考え方
↪︎【one という基準】に対して「特定のもう一方」/「別のもう一つ」
- 「one」に対して「the other」= 1つに対して特定のもう1つ
- 「one」に対して「another」=1つに対してその他のもう1つ
そこで、ここからは不定代名詞の理解度がグッと高まるように、以下の組み合わせでそれぞれの関係性について具体的に触れていきます。
- 「one – the other」と「one – the others」の違い
- 「one – another」のイメージ
- 「some – others」のイメージ
- 「some – the others」のイメージ
ここまでは、なんのことか少し分かりにくいかもしれませんが、一つひとつ整理すれば後からスッキリと理解できるので安心してください。
それでは、順番にイメージを浮かべなから理解を深めていきましょう!
「one – the other」と「one – the others」を比較してみる!
早速ですが、こんなシチュエーションを思い浮かべてみましょう。
あなたはとあるアイドルグループの大事なオーディションで審査員を務めています(かなり大げさなシチュエーションですが、ありえなくもないでしょう、しばしお付き合いください。笑)
今日の審査には最終的に2名が残り、その2人を比べています。。。
【one – the other・・・「2つの内1つと、特定のあと一つ」】
例1). One person is good at singing, and the other is good at dancing.
(1人は歌が上手い、そしてもう1人の方はダンスが上手い。)
【※比べている応募者は2人のみであることが分かる!】
「one」と「the other」の関係性は2つある内の一つと残りのもう一つです。
「the」という冠詞が付いているということは、「その◯◯」というふうに特定の人やモノを指しているということ。例文のオーディションの状況で言えば、あなたの頭の中にははっきりと、「まず1人はこんな感じで、「(その残りの) もう1人の方はこんな感じだ」、というふうに特定の人物のことが思い浮かべてられているのが分かるかと思います。だからこそ、その〇〇を意味する「the other」なんですね。
【one – the others・・・「複数の内の1つと、特定の残り全て」】
例2). One person is good at singing, and the others are good at dancing.
(1人は歌が上手い、他の人たちはダンスが上手い。)
【※比べている応募者は複数人(3人以上)であることが分かる!】
ここでのポイントは、the other と the others の違いです。
オーディション審査の話に戻りましょう。
審査は2日目に入り、今度は昨日よりも多くの候補者が残りました。
the others には複数形を意味する s が付いているので、文の後半部分: the others are good at dancing. (= その他の人たちはダンスが得意である。) という意味になるところまでは、なんとなく読解できるのではないでしょうか。でも、厳密に言うとここまでの理解では△です。何が足りないか、、、そんな時のためにやっぱり大事なのがイメージです!
下のイメージで今の例文を再確認してみましょう。
まず「the others」 は複数形の s が付いているので、その他の人たちは複数人いることが分かりますよね。ここまではOK。では、この the は何を表しているのか、、、そうです 特定の複数のもの (例であれば特定の応募者たち) です。
そしてこの場面における「the others = 特定の応募者たち」とは、one 以外の全ての応募者たちのこと。
↑これが「the others」のイメージを理解する上でとっても大切な部分です。
大事なポイントなので少し言い方を換えてもう一度言います。仮に審査に残った参加者全員の合計が4人であれば、one – 1人 に対して、the others は、残りの3人全てを指し、全員の合計が5人の場合は the others = 残りの4人全員を指す。
「the others」を見たときには、必ずこのイメージで意味を取ってください。
ここまでの解説を簡単にまとめると以下の通り。
不定代名詞「the other / the others」の考え方
- 合計が2人= one (1人) and the other (1人)
- 合計が4人= one (1人) and the others (3人)
- 合計が5人= one (1人) and the others (4人)
これが the other / the others が使われた時の意味合いです。
下のイメージを使ってそれぞれをしっかりと区別し頭に入れておきましょう!
ここまでで、すでに「不定代名詞」がどんなものか分かってきたと同時に、意外とそんなに複雑な内容でもないことを理解してもらえていると思います。
それでは、次は「another」のイメージについてです。
「one – another」は おかわり をイメージ!
「one」と「another」の関係は、1つと他のもう一つ。
1番身近な場面としてイメージしやすいのは「おかわり」でしょう。
まず、以下の「another+名詞」を確認していきましょう。
- another cup of coffee (もう一杯のコーヒー)
- give me another 20 min (あと20分ください)
- one after another (次から次へと)
◉another cup of coffee (もう一杯のコーヒー)
英語で飲み物をおかわりをしたい時に使うお馴染みの表現に、
例1). Can I have another cup of coffee?
(コーヒーをもう一杯もらえますか?)
というものがあります。
これは、今飲んでいる/飲んでいた カップ (one) に加えて、別のひとつ (another cup) をください、というイメージから出来上がっている表現だと言えるでしょう。
例2). Please give me another 20 min.
(あと20分ください)
もうイメージは湧いているでしょうか。
元々あった時間 (one) に加えて、追加の20分 (another 20 min) が欲しいと言う表現。
(元々もらっていた時間は20分とは限らず30分かもしれないし、1時間の可能性もあります。元の時間がどれくらいであっても、「あと追加で20分欲しい」と言うなら、another 20min となります。)
もうひとつ、おまけとして「one after another」という慣用句もご紹介しておきます。
これは、「次から次へと」の意味で使われる表現なのですが、
上のイメージを当てはめて、「他の1つの後にさらに1つ」→このイメージから「続々と続いている」という意味が生まれているのがなんとなく想像できるのではないでしょうか。
このように、「another」=「すでにあるモノや人からさらに別の一つ/一人」というイメージが頭に描けていれば十分です!
「some – others」は不特定のいくつか+さらに他のいくつか
まず「some」は、不特定のいくつか。大群衆があるとすればその中からざっくり複数人を示して「some = いくつかの人はね、、、」と言っている感じです。
そして「others」は他の不特定のいくつか。こちらもぼやっとした感じで、以前登場した the others とは違い、不特定の複数のその他を表します。
このままだと少し分かりにくいので、また日常の会話に落とし込んで考えてみましょう!
使われるシチュエーションの例としては、「人によって好みは違うよね。」ということを英語で表したこんな表現↓
Some people like red, and others like blue.
(ある人たちは赤が好きで、他のある人たちは青が好きです。)
世の中にいる人々の中から、一握りのある人たち(some people) は赤が好き、そして他の一握りのある人たち (others) は青が好き。といった印象が伝わる英文です。
some と others というどちらも不特定なモノや人を指す言葉を用いることで、まさにこの世の中はこんな人々もいるし、あんな人々もいるよねというニュアンスが醸し出されています。
さて、頭の中ではこれまでに登場してきた不定代名詞が整理できているでしょうか?
ではここで、突然ですが1つ質問です。
Q. 上の「Some people like red, and others like blue.」という英文、後半部分が the others ではなく others なのはなぜでしょうか?
この質問にしっかり答えられれば、もうこの記事で伝えたかった内容はほとんどマスターできていると言っても過言ではありません。
その理由は、、、先ほど出てきた「この世の中には〜」という文脈に注目してみてください。
the others という表現は、残りの全ての◯◯ というふうに、特定のモノや人を示す表現でした。仮に、「Some people like red, and the others like blue.」と言ってしまえば、「いくつかの人は赤が好きで、残り全員は青が好きだよね。」というかなり偏見染みた文章になってしまうのです。
世の中には、赤と青の他に黄色が好きな人だっているし、緑、ピンク、紫が好きな人だって当然いるわけですから、ぼんやりと「他のいくつかの人たちは」を表すには「the others」ではなく「others」がしっくりくるよね、ということですね。
がしかしですよ、もちろん「some – the others」が適している場面もあります。
それが最後にご紹介したいこちらのシチュエーション。
「とある学校のクラスで行われる学級委員長を決める選挙」の場面です!
「some – the others」は不特定のいくつかと、特定の他全て
では、実際にこんな場面を想像してみましょう。
生徒が数十人にいるクラスにおいて、学級委員長を決めようとしています。
学級委員長の候補者は2人。
・イヤイヤながらもジャンケンに負けて選挙に出ることとなったAくん。(通信簿へのプラス評価のためでもある。)
・いつも正義感に満ち溢れ、曲がったことは大嫌いなBさん。
この2人の内1人を学級全員での多数決を行って決めようとしています。
なんとなく勝敗は見えていますが、ここでのポイントはこの選挙の勝敗ではなく「some – the others」です。
Some students chose A-kun, the others chose B-san.
(いくつかの生徒はAくんを、その他の生徒はBさんを選びました。)
この英文を言い換えて、丁寧にいうと Some students chose A-kun, the other students chose B-san. となります。(the others = the other students という形でも表現することができます。)
注目すべきは、やはり「the others」の場合「some」以外の人やモノの残り全てを指しているというところです。
多数決をしている学級の生徒の例で言えば、Aくんを選んだいくつかの生徒 (some) と、Bさんを選んだそれ以外の全ての生徒 (the others = the other students)。
ではここで、「the others」の代わりに「others」を使った場合を考えてみましょう。
先ほどの質問とは逆のバージョンですね。どんなふうにニュアンスが変わるでしょう?
↪︎ Some students chose A-kun, others chose B-san.
相手に伝わるイメージは「Aくんを選んだ人もいれば、Bさんを選んだ人もいるみたいだな。。。じゃあ残りの人たちは!?」というように、AくんもBさんも選んでない人がまだその他にもいるんだなという印象を与える英文となります。これが、「others」と「the others」の決定的な違いなのです。
不定代名詞「others / the others」の考え方
- 合計が20人= some (5人) and the others (15人)
- 合計が20人= some (5人) and others (2〜14人)
※「some」の数字はあくまで例です。
不定代名詞の知識を問う問題たち!
では最後に、今までの知識をフルに活用して、いくつか不定代名詞が使われた演習問題を解いてみましょう!
754. Many people who attend workshops underestimate how much they can learn from _ _ _ _ _ participants. (出典: 公式TOEIC®L&R問題集7 – Test2)
(A) another
(B) others
(C) the other
(D) one another
正解: (C) the other
イメージとしては、自分以外のその他の参加者全員から (何か学べる) といったニュアンス。
924. The manager preferred Keisuke Honda over _ _ _ _ _ qualified applicant, because he was fluent in both Japanese and English. (出典: TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問より)
(A) other
(B) the other
(C) another one
(D) each other
正解: (C) the other
the other qualified applicant は単数 (1人) なので、2人の中から1人を選んだことが分かる英文というのも要チェック!
481. FastLine Computers opened 10 call centers last year and plans to add _ _ _ _ _ 10 this year as part of its growth initiative. (出典: TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問より)
(A) some
(B) the others
(C) each other
(D) another
正解: (D) another
去年オープンした10のセンターに加えてさらに、のおかわりのイメージが掴めれば another がくることが分かる。
★この記事で使われている参考書をご紹介★
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