この記事では、外国人の方が日本人の配偶者である場合に申請することができる、いわゆる「配偶者ビザ」に関して、重要なポイントに絞って解説していきます。
まず、外国人の方が日本に滞在する際には何らかの在留資格を得て生活をすることになります。
その在留資格の中でも、大別すると、
- 活動系のビザ (「就労ビザ」・「留学ビザ」など)
- 身分系のビザ (「永住権」・「日本人配偶者ビザ」など)
に分けることができます。
「活動系」の方のビザは、例えばある職業に特化したスキルを持っている人がそのスキルを活かして日本で就労するという場合であったり (就労ビザ)、学生さんであれば「留学」といったように日本で行う、その活動内容に応じた在留資格を得るのもの。
それに対して、今回主に解説していく「配偶者ビザ」は、「身分」とか「地位」に応じて申請することが可能になる、いわゆる「身分系」の在留資格にあたると言えます。
上記のことを、さらに簡単な言葉で言うとすれば、「その決められた活動をするために日本に滞在しますよ」という活動系のビザと、「私は日本人の配偶者であって一緒にその配偶者と社会的な生活を営むために日本に滞在しますよ」というような身分系の在留資格があるということですね。
【活動メイン – 基本的にその活動に絞られるのが特徴】
□日本で行う活動内容に応じた在留資格(就労・留学・家族滞在など)
【身分メイン – 就業等において縛りがないので自由度は高い】
□身分や地位に応じた在留資格(永住者・日本人の配偶者や子)
・永住者 → 永住権
・日本人の配偶者等 → 日本人配偶者ビザ ★今回はここを深掘りする
・永住者の配偶者等 → 永住者配偶者ビザ
・定住者 → 定住者ビザ (※就労の制限あり)
また、当然ですが日本人が単に「国際結婚をした」というだけでは、その配偶者の方の地位が日本人になる訳でもありませんし、当然に配偶者ビザを得られるという訳でもないです。
あくまでも「日本人の配偶者ビザ」というのは、入管に必要書類を提出して申請し、厳格な審査を経て得られる資格なのです。
日本人配偶者ビザ取得のメリット
日本人の配偶者ビザを得ると何がいいのかということですが、活動系のビザと比較して、就ける仕事や学校に通いたいといった場合にも活動の制限なくそれらを行うことができます。
最初に述べた、特定の活動を行うための資格: 「就労や留学のビザ」であれば、基本的にはその活動に限定されるわけですから、配偶者ビザの方が自由度が高い在留資格であるということが分かると思います。
ただその代わりとして、自ずと申請許可に対する審査は厳しくなります。
その中でも特に重要となるポイントが2つあります。
それが、
- 結婚の信憑性
- 結婚後の生活基盤の有無
(端的に言えば、2人で生活していくだけの安定収入があるかということですね。)
つまり、入管の審査官目線に立ってみれば「この2人の結婚は偽装結婚などでなくて、真実の愛に基づいた婚姻関係なんだな」そして、「これだけの収入や金銭的な余裕があれば、将来にわたって2人が日本で社会的生活を十分に行なっていくことができるな」ということを裏付けるだけの書類や物的証拠がほしいわけです。
そして、プラス@で、すでに何らからの在留資格で日本に滞在している人が、この「日本人配偶者ビザ」へ切り替える場合は、今までの在留状況や過去の犯罪歴など、たとえば、「現在の在留資格にあった活動以外はしていないか」、「留学生であればアルバイトなどのオーバーワークはないか」といった部分もビザ審査の対象になります。
日本人配偶者ビザ取得のために必要となる情報
以上の内容を踏まえると、次にあげる必要書類に記載すべき情報や、なぜその必要書類が大切なのかということが分かってくるはずです。
日本人配偶者ビザ取得のために必要となる情報
- 結婚歴・離婚歴・子供の有無
- 夫婦の経済的状況
- 身元保証人
- 年齢差
- 結婚式を挙式しているか
- 出会い・交際のきっかけ
- 結婚までの期間
- 同居の有無
ここで大切なポイントは、「なぜ上記にあげた情報が必要とされるか」ということと、「どのようにすれば (どんな書類を使えば)、その情報を効果的かつ客観的に審査する側の人に証明することができるか」を常に考えることです。
例を挙げます。
例えば2番の「経済状況」であれば、住民税の課税証明書であったり通帳の預金高といった情報がその裏付けとなりますし、5番の「挙式の有無」については、偽装結婚のためにわざわざこんなに高額な挙式を執り行うことはないよね、さらには、その挙式にお互いの両親及び親族や友人が大勢参加していれば尚更だよね。といった具合です。
その他の情報も結局は、「結婚の信憑性 と 結婚後の生活基盤 (収入) の有無」を証明するためのものに他なりません。
【補足】結婚の信憑性と生活基盤 (十分な収入)をどのように証明する??
・結婚の信憑性
→上記情報を含め、結婚までの経緯を「理由書」で説明する
信憑性を高めるために交際時のメール交換や旅行先や普段の生活の写真も添付資料として添える。
・収入 (市役所が発行する住民税の課税証明書: 昨年の給与所得を反映)
→ 安定した収入がない場合は、「両親からの援助・預貯金・その他の資産」なども含め総合的に判断してもらうこととなる。
そして、最終的にはこれらの情報に関する書類を、①正式な申請書、②交際の経緯を記載した理由書、そして③質問書と一緒に提出して審査を待つことになります。
【上記の内容を実証していく形式的書類3つ】
1-a 申請書: 海外からの配偶者呼び寄せ (リンク) – ケース1
1-a 申請書: 海外からの配偶者呼び寄せ (リンク) – ケース1
2- 理由書 (交際経緯の説明) – ケース1&2共通
3- 質問書 (リンク) – ケース1&2共通
必要書類が揃い、きちんとビザの許可要件を満たしている申請の場合であれば、約1ヶ月前後 (海外から配偶者を呼び寄せる場合にはより長い審査期間) で結果が出ることになるでしょう。
終わりに
ここで最後に一つだけ注意点ですが、これらの書類を作る時に「虚偽の内容」をでっちあげることは絶対に避けなければいけません。
⚠️注意
虚偽申請と受け取られかねないものも含めて、嘘の申請は絶対に避けましょう。
たとえ、実際の状況が審査に不利になりそうなものであったとしても、虚偽申請という行為は、入管が1番嫌がるもので、発覚した時点で即不許可ということもあり得るものです。絶対に注意しましょう。